ぶつけても気付かず... 飲酒運転体験ルポ
飲酒運転の減少ではなく、"根絶"を目指して広報活動や取り締まりを強化する鳥取県警。それでも、飲酒運転の摘発は県内で年間100件を超える。飲酒運転がなぜ駄目なのか、どう危ないのか、鳥取県自動車学校(倉吉市西倉吉町)が企画した「飲酒運転根絶講習会」に本紙記者が参加して、その危険性を体験した。
講習会に参加した運転歴18年の記者(38)。まず、飲酒の前に教習車を操り、教習場に設けられたスラロームや狭路などを走行。目立ったミスもなく、難なくこなすことができた。
その後、モグラたたきの要領で、光るランプを手で押して認知や動作、判断などの能力を測定する機械「点灯くん」で運転能力をチェック。反応時間と正答率がはじき出され、正答率はほぼ100%の出来だった。
そして"お待ちかね"の酒宴。目の前に並ぶ酒とつまみに手を伸ばし、ビール500ミリリットル缶3本とチューハイ缶1本を飲み干した。飲酒直後には呼気1リットルから0・70ミリグラムのアルコールが検出された。
酒の影響はすぐに出た。点灯くんでの測定で、光るボタンが見えにくい「視野の狭さ」を実感し、ボタンを押し間違えることも。結果は数値に表れ、反応時間は遅くなり、正答率は約90%まで下落。教習場の実車運転では、バックの際、車を障害物(ポール)にぶつける始末だった。
運転(操縦)能力の低下とその危険性を、身をもって知り、そして何より飲酒運転の恐ろしさを知ったのは「ぶつけたことに自分自身がまったく気付かなかった」ことだ。
県警交通企画課によると、2008年から12年までの飲酒運転摘発件数は古い順に164件▽159件▽129件▽145件▽121件-。月別では5月が最も多く、次いで8月、12月の順。年間では減少傾向にあるが、歓送迎会や忘年会、行楽シーズンなどで飲酒する機会が増える時期に、摘発件数も増加する傾向にある。
摘発された飲酒運転者には「寝れば大丈夫だと思った」「すぐそこまでだったから...」など軽率な言動、行動がみられ、飲酒運転に対する意識の低さがうかがわれる。最近では二日酔い運転での摘発が目立っている。
県警は講習会の実施や取り締まり、検問による抑止や予防など、飲酒運転の根絶に向けてさまざまな取り組みを行っている。同課の西村忠久管理官は「飲酒運転は減少ではなく、根絶することが目標。運転者はもちろん、家族や地域ぐるみで飲酒運転を『しない』『させない』という根絶機運を高めてほしい」と呼び掛けている。